ゲームが子供たちから奪うモノ

 26,000,000台と11,000,000台、これはどんな数値だと思われますか?


 これは二大携帯ゲーム機の日本国内販売台数です。前者は任天堂Nintendo DS、後者はソニーPSPであり、1千万桁の膨大な数値が私たちの生活の中にゲーム文化が広く根付いていることを表しています。なかでも特に10・20代の普及率が高く、私自身近所の子供たちが外で遊んでいる姿を見たときに、彼らがDSで通信対戦をしている姿を見たときは流石に驚かざるを得ませんでした。


 タイトルに書いたゲームが子供たちから奪うものは、子供の「遊び」だと私は思っています。

 
 少し話が変わりますが、マクドナルドで有名な商売方法に「子供を重点に置いたセールス」というものがあります。それは子供や、特に幼児期といった低年齢にあたる顧客に対して、わざわざコストの掛かる玩具をセットにつけたり、割引などのサービスを積極的に行うというものです。
これは単なる販売促進ではなく、できるだけ味覚の成長が発達しない子供のうちに自社の製品を食べさせ続けることでその味に慣れさせマクドナルドに依存させることが目的であるとされています。


 つまり、私が言いたいことは子供の生活行動における全てが未発達の時期に与えるゲームの影響の大きさは、世間が思っている以上に大きいということ。ゲームをする=ゲーム脳になるとかそういう単純なことではなくて…
会社に勤める社会人の1日の大半が「仕事」であるように、子供にとっては1日の大半が「遊び」によって占められています。もちろん小学校に入学してからは勉強も本格的に始まりますが、それでも集団生活の中で遊びと勉強を相互に体験しています。その子供の成長に絶対必要不可欠な「遊び」という聖域にゲームが介入することは子供の発達に大きな影響を与えるといっていいでしょう。


 ではゲームの何が良くないのか?単純な答えですが、それは面白くなるように上手く作られているからです。このほかにも理由はあるかもしれませんがコレだけはハッキリしていると思います。それも、より長くプレイし、深くのめり込むように。  確かにゲームは面白いです、仮想の世界で日常では決して体験できないことを楽しめます。その上子供たちは感情豊かな時期であるが故に好奇心とともにゲームの世界にものめり込みやすい依存しやすい体質があります。これは、先に挙げたマクドナルドのセールス方法に通じるところがあると言えるのではないでしょうか?


 また、ゲームは子供たちの遊びに入り込んだ上に、その「遊び」の領域自体も破壊する危険性を持っています。それは、ゲームを中心にして遊び成長してきた子供はそれ以外の遊びのバリエーションを失うこと。そういった子供たちが将来親になり今度は自分が子供に遊びを教える時期になったとき、はたしてどんな遊びを子供に教えられるだろうか?提供できるのだろうか? ゲームの本当の危険性はゲームによって育ってきた子供たちが親の代になったときに確実に表れてきます。


 それでもゲーム自体は決して悪ではありません、ただ子供たちにとってそれに振り回されることのないよう 自身を上手くコントロールできないことが問題なのです。子供の今と将来を守るためにも、ゲームに子供が偏りすぎぬよう導いてあげる保護者や地域の大人の重要性が改めて求められていると考えます。